[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
人から借りて読みました。
新潮社 (1995.8)
ISBN : 4101288046
価格 : ¥660
文庫裏より
「一度目」は戦時下の強制連行だった。朝鮮から九州の炭鉱に送られた私は、口では言えぬ暴力と辱めを受け続けた。「二度目」は愛する日本女性との祖国への旅。地獄を後にした二人はささやかな幸福を噛み締めたのだが……。戦後半世紀を経た今、私は「三度目の海峡」を越えねばならなかった。”海峡”を渡り、強く成長する男の姿と、日刊紙の深部を誠実に重ねて描く山本賞作家の本格長編。
言うまでも無く上記の通りの話です。
さて帚木蓬生さん。初めて読んだのは、確か中学生の頃、『閉鎖病棟』だった気がする。
その後、読んだことあるのは実は『安楽病棟』『エンブリオ 上 エンブリオ 下』のみ。もっと読んでるかと思ったけど、意外と読んでいない。
三たびの海峡について書くのもいいかと思ったけど、むしろ帚木蓬生自身についてをちょっと記した方がこの人の書籍には入りやすい気がします。
東京大学文学部仏文科卒業後、TBSに勤務。退職後九州大学医学部を経て精神科医に。
最初この経歴を見た時は「ああ、あたしとは住む世界が違う」とミタケは思った。中学生にして格差社会を知る。
まあそんなんはどうでもよく、医学系の話が多い。それも安楽~とか閉鎖~的な精神面に入っていくものから、エンブリオのように技術云々という方まで。
でも基本的に人間ドラマが中心となるので、全部の話の根幹にあるのは「人間の心」だと思います。
あたしが読むにしては、ミステリ色が薄い(と思う)作家さんだね、珍しく。
そしてさらに文章がかっちりしすぎていないので、読みやすいっちゃ読みやすい。
一つ一つの場面を確実に堅実に拾い上げていくような描写。
あ、ちなみに振り仮名は『ハハキギ ホウセイ』ですよ。しかもそのまま入力しても恐らくパソは変換してくれません。
筆名の由来は言うまでも無く源氏物語からですね。